いらなくなったHDDを自分で破壊することを検討している方も多いのではないでしょうか。HDDを自分で破壊する方法はいくつかありますが、リスクも伴うため、注意が必要です。本記事では、HDDを破壊する方法にくわえて、リスクや外部に依頼する場合の選び方についてご紹介しているので、ぜひ最後まで読んでいただき、情報漏洩を防ぐうえで最適な方法を見つける参考にしてみてください。
自分でHDD破壊を行う方法
パソコンや外付けハードディスクドライブ(HDD)には、日々のやりとりの記録や写真、文書ファイルに加えて、ユーザーアカウントやパスワードなどの個人情報も数多く保存されています。そうしたデータを他人に知られたくない場合、使わなくなったHDDを処分する際には、物理的な破壊を通じてデータが二度と読み取れないようにする方法があります。ここでは、自分の手でHDDを破壊する際の代表的な方法を紹介しながら、ご自身の手で行うからこそ生じるリスクについてもあわせて解説していきます。
ドリルで穴を開ける
最初に紹介するのは、ドリルを使ってHDDの内部にあるプラッタという金属やガラス製の円盤を貫通させる方法です。このプラッタは、読み書きを行う磁気ヘッドによってデータを記録する場所であり、言い換えればHDDの心臓部といえる部分になります。外装ケースや基板だけが壊れていても、プラッタが無事であればデータが復元される可能性があるため、ドリルで複数箇所に穴を開け、プラッタを完全に破壊することが必要です。
ハンマーで物理的に破壊する
次に紹介するのは、ハンマーを用いて直接叩き割る方法です。ドリルのように電動工具を揃えなくても、大きめのハンマーが一つあれば開始できるのが魅力ですが、その分、破壊作業の際に部品や破片が飛び散りやすく、ケガのリスクも高くなります。ハンマーで叩く場合、できればコンクリートや鉄板など、ある程度硬い作業台の上にHDDを置いて作業するのが望ましいです。柔らかい床の上で行おうとすると、衝撃が吸収されてしまい、思ったほどダメージを与えられない可能性があります。また、一撃で完全にプラッタを砕こうと力任せに振り下ろすと、勢いを制御できず手元がぶれてしまったり、自分に破片が返ってきたりすることもあります。確実性を高めるなら、一度HDDを分解してプラッタを露出させ、直接プラッタを叩くほうが安全かつ確実です。
HDDを分解してプラッタを破壊する
三つ目に挙げるのが、HDDそのものを分解し、内部パーツを取り出したうえでプラッタに直接ダメージを与える方法です。最近のHDDは外装のネジがトルクスネジと呼ばれる特殊な形状をしている場合が多く、通常のプラスドライバーやマイナスドライバーでは外せません。しかしトルクスドライバーを用意さえすれば、いったん内部を開けて構造を確認しながら破壊を進めることができます。
HDD内部は意外とシンプルな構造で、基板やヘッドアームを外すと、複数枚重なっているプラッタが見えてきます。プラッタがガラス製のものもあれば、アルミ製やセラミック製のものもあり、それぞれ破壊する際の力加減が異なる点には注意が必要です。ガラス製の場合は軽い衝撃でパリッと割れてくれますが、そのぶん破片が飛び散りやすいですし、アルミ製は割れることはありませんが曲げたり切り込んだりする必要があり、やや力が要ることがあります。いずれにしても、プラッタを一度取り出してしまえば、あとはハンマーやペンチ、金属用ハサミなどで傷つけたり形を変えたりして、物理的に読み取りが不可能な状態にすることが重要です。やってはいけないHDDの破壊などについても知りたい方は下記の記事をご覧ください。

自分でHDD破壊を行う際に必要な道具と準備
ここまで紹介した破壊方法はいずれも物理的な力を伴います。したがって、作業の際の安全対策は欠かせないうえに、破壊に用いる道具も準備をする必要があります。ここでは、ドリルやハンマー、分解における具体的な道具と準備について、もう少し掘り下げてご説明します。
ドリルで穴を開ける場合
準備するもの | 作業環境 |
・ドリルビット ・クランプや万力 ・ゴーグルや軍手、長袖長ズボン ・ブルーシートやダンボール | ・広めの屋外 ・換気をしたガレージや作業部屋 |
ドリルを使う際には、まず金属用のドリルビットを用意することが必要です。木工用ビットだと金属を貫通しにくいばかりか、ビットがすぐに摩耗してしまうリスクもあります。また、高速で回転するドリルは突然反動が発生することもあるため、HDDをしっかりと固定するためのクランプや万力を用意しておくと格段に作業がラクになります。HDDの外装は金属でできている場合が多く、ある程度の硬度があるため、ドリルの回転数を上げすぎると摩擦熱が生じてビットが焦げ、金属粉が多量に出てしまいます。必要以上に力を込めるよりも、丁寧に時間をかけて穴を開けていくほうが安全性が高く、プラッタへ確実にダメージを与えることができます。
作業環境としては、広めの屋外か、換気のしっかりしたガレージや作業部屋が理想です。ドリルの騒音もそれなりに大きいため、深夜や早朝に作業を行うのは近所迷惑になるかもしれません。騒音問題だけでなく、飛び散った破片を掃除しきれずに放置すると、後から踏んでしまいケガをするおそれもあるため、ブルーシートを敷いたり、ダンボールなどで周囲を囲ったりして作業範囲を限定するのがおすすめです。
ハンマーで物理的に破壊する場合
準備するもの | 作業環境 |
・ハンマー ・鉄板やコンクリート ・ゴーグルや軍手、長袖長ズボン ・ブルーシートやダンボール | ・広めの屋外 ・換気をしたガレージや作業部屋 |
ハンマーでHDD破壊を行う場合は、ハンマーの準備が必要なことはもちろんのこと、鉄板やコンクリートなど固い台をご準備いただくことが必要です。
力加減を誤ってハンマーが手から飛んでしまったり、HDDが弾かれて周囲の物を壊してしまう可能性もあるので、周りに人や壊れやすい物がないかをよく確認しましょう。また、硬い台に直接ハンマーが当たったときの跳ね返りにも気をつけながら、対応を行いましょう。
HDD破壊を分解してプラッタを破壊する場合
準備するもの | 作業環境 |
・トルクスドライバー、プラスドライバー、マイナスドライバーなど ※場合によって、準備するドライバーが異なります。 ・ゴーグルや軍手、長袖長ズボン ・ブルーシートやダンボール ・ピンセット※場合によって | ・換気をしたガレージや作業場所 |
分解を行う場合は、まずトルクスドライバーとプラスドライバー、マイナスドライバーなどのいくつかの工具を揃える必要があります。HDDの外装に隠しネジがあったり、ラベルシールの下にネジが隠されていることもあるため、簡単には開かない場合もありますが、コツをつかめば比較的スムーズに作業を進行することができるでしょう。
内部のプラッタは、素材によって破壊のしやすさがまちまちですが、いずれにしても完全に読めないレベルまで壊すには、表面を大きく傷つけたり、割ったり、切り込みを入れるといった作業が必要となります。ガラス製の場合素手で破片を触ると大変危険なので、必ず軍手やピンセットを使うようにしましょう。また、アルミ製のプラッタは硬度が高く、簡単に割れはしないものの、曲げたり穴を空けたりするだけで再利用が難しくなり、読み取りも実質不可能になります。プラッタが一枚だけの場合もあれば複数枚重なっている場合もあるので破壊漏れがないように注意が必要です。
HDD破壊を自分で行うリスク
ここまで、物理破壊の方法を中心にご説明してきました。しかし、実際のところ自力でHDDを破壊するという行為には、いくつかのリスクが伴います。ここではいくつかのリスクについてご説明します。
不完全な破壊による情報漏洩リスク
見た目を粉々に壊したつもりでも、プラッタに大きな傷や穴が空いていない場合などは、データを復旧できてしまう可能性があります。表面だけ傷がついている程度では、最新の復元技術で一部のデータを読み取ることも可能です。これが自分での物理破壊による最大のリスクといえます。
怪我・事故のリスク
物理的な破壊作業には、怪我や事故のリスクがつきものです。ドリルを扱う際の火花による火傷、ハンマーを振り下ろすときの反動で手元が狂って指を叩いてしまう危険性、ガラス製プラッタを割った破片で指を切るリスクなど、トラブルは少なくありません。安全装備や作業スペースの確保を徹底していたとしても、不注意で大きな怪我につながりかねないため、ご自身では行わず専門業者に依頼することを強くおすすめします。
環境汚染へのリスク
HDD内部には、磁性体や希少金属などの部品だけでなく、リチウムボタン電池を搭載している場合があるなど、環境に有害な物質が使われていることがあります。そのため、適切な処分をしないまま廃棄をしてしまうと、有害物質が流出してしまう危険性があります。日本国内では、不燃ごみとして出していい部品とリサイクルに回すべき部品が混在しているため、廃棄のルールをよく確認しなければなりません。たとえ個人利用とはいえ、環境負荷に配慮した処分方法を心がけることは、これからの時代、ますます重要となっていくでしょう。
HDD破壊を外部に依頼する際の選び方
自分で破壊を行う作業がリスクを伴うことは理解しながらも、実際には自力で行ったほうが安いと感じる方もいるでしょう。一方で、専門業者に依頼すれば費用は発生するものの、その分安全性や確実性が高くなり、データ漏洩をほぼ完全に防げるというメリットがあります。ここでは、外部に依頼するときの選び方について主なポイントを解説します。
サービス内容のチェック
業者選びの際には、まず「どのような破壊方法を行ってくれるのか」を確認しましょう。物理破壊を行うのか、それとも専用ソフトによるデータの上書き消去のみを行うのか、あるいは両方を組み合わせて安全性を高めているのか、といった点が重要です。また、オンサイト(依頼者の場所に出張して作業する)とオフサイト(業者の施設に送付して作業する)、機械のレンタルなどどのように対応しているかによっても費用や手間が変わってきます。弊社では、オンサイト(出張)サービスや機器レンタルを行っているため、気になる方はぜひサービスページをご覧ください。
証明書発行の有無のチェック
HDD破壊完了後、対応が完了したことを証明する「破壊証明書」や「消去証明書」を発行してもらえるかも、大切なチェックポイントです。企業が大量のHDDを処分するときはもちろん、個人のパソコンを処分する際にも、この証明書があれば「確実にデータは消去されました」という安心感が得られますし、仮に何かトラブルが起きた際の説明責任を果たしやすくなります。証明書の発行に追加費用がかかる場合もあるため、あらかじめ料金体系を確認しておくと、あとから不明瞭な出費を強いられることを防げるでしょう。
弊社でも作業完了後、データ消去証明書または破壊証明書を発行しているため、気になる方はぜひ下記ページをご覧くださいませ。

情報漏洩リスクをなくすなら専門家への依頼がおすすめ
自分でHDDを破壊する方法はいくつか存在しますが、セキュリティ面、安全面、環境面でのリスクが伴います。専門業者に依頼すればコストはかかりますが、データを破壊するプロであるため、そのリスクを防ぐことができます。
弊社では、物理破壊機とデータ消去機を自社製品として製造しているため、お客様にあわせた幅広い提案が可能です。
ご興味のある方はぜひお気軽にお問い合わせください。