パソコンや外付けHDDを処分する際、データ漏えいのリスクを考えていますか?削除や初期化だけでは、不正な復元による情報流出の危険があります。安全にデータを消去するには、HDDを物理的に破壊する方法が有効的です。本記事では、HDDの破壊方法、注意点、HDD破壊のサービスの種類について解説します。
なぜHDDの破壊が必要なのか?
HDDの破壊が必要なのは、HDDに残るデータの復元リスクがあげられます。以下でデータ消去ソフトと物理破壊の違いも含めて詳しく解説します。
HDDデータの復元リスクとは?
HDDをフォーマットしたり、削除操作を行ったりしても、データは完全には消えません。専用のデータ復元ソフトを使えば、削除されたファイルを高確率で復元できるため、個人情報や機密データが第三者に漏えいするリスクがあります。特に、企業のHDDには顧客情報や機密文書が含まれるため、不正アクセスによる情報流出が大きな問題になります。そのため、HDDの物理破壊が必要です。ドリルでの穴あけやハンマーでの破壊など、確実なデータ消去方法を選びましょう。
データ消去ソフトと物理破壊の違い
データ消去ソフトと物理破壊の違い
データ消去ソフト | 物理破壊 | |
消去方法 | データを上書き | 物理的に破壊 |
デメリット | 処理に時間がかかる | 専用装置がないと手間がかかる |
データ消去ソフトと物理破壊には、それぞれ異なる特性があります。データ消去ソフトはHDD内のデータを上書きし、通常の操作では復元できない状態にします。ただし、消去処理には時間がかかり、専用の復元技術を使えばデータが復元される可能性があります。一方、物理破壊はHDDを物理的に損壊させ、データの読み取りを完全に不可能にする方法です。より確実なデータ消去を求める場合は、物理破壊がより安全な方法と言えるでしょう。
HDDを破壊する4つの方法|自分でできる確実なデータ消去
HDDを破壊する4つの方法は以下のとおりです。
- ドリルで穴を開ける方法
- ハンマーで物理的に破壊する方法
- HDDを分解してプラッタを破壊する方法
- 強力な磁石でデータを無効化する方法
上記の方法を把握しておくと、データ消去を確実に行えます。
ドリルで穴を開ける方法
HDDを確実に破壊する方法の一つが、ドリルで穴を開ける方法です。HDDの内部にはプラッタと呼ばれるデータ記録用の円盤があり、これを破壊することでデータの復元が極めて困難になります。手順としては、まずHDDを固定し、電動ドリルを用意します。次に、HDDの表面から複数箇所に穴を開け、プラッタを貫通させることが重要です。穴の数が多いほど復元リスクは低下します。ただし、作業時には飛散する破片に注意し、手袋やゴーグルを着用することをおすすめします。
ハンマーで物理的に破壊する方法
ハンマーでHDDを物理的に破壊する方法は、特別な工具を使わずに手軽に実行できるデータ消去手段です。まずHDDを固定し、プラッタ(データが記録されたディスク部分)を重点的に狙います。力強く何度も叩くことで、プラッタを割れたり歪んだりさせ、データの読み取りを不可能にします。特に、ディスクがバラバラになるほど破壊すれば復元のリスクはきわめて低くなります。ただし、金属片が飛散する可能性があるため、作業時はドリルの活用と同様に保護メガネや手袋を着用し、安全を確保しましょう。
HDDを分解してプラッタを破壊する方法
HDDを分解してプラッタを破壊する方法は、データを完全に消去する有効的な手段の一つです。まず、プラスドライバーを使ってHDDの外装ネジを外し、カバーを開けます。内部には円盤状のプラッタがあり、ここにデータが記録されています。プラッタを取り出したら、金属バサミやヤスリを使って表面に深い傷をつけたり、細かく砕いたりすることでデータの復元を防ぎます。特にガラス製プラッタは割れやすいため注意が必要です。作業時はほかの方法と同様、手袋や保護メガネを着用し、安全を確保しましょう。
強力な磁石でデータを無効化する方法
強力な磁石を使ってHDDのデータを無効化する方法は、物理破壊を伴わずにデータを消去できる手段の一つです。HDDは磁気を利用してデータを記録しているため、強力なネオジム磁石などを近づけることで磁気情報を破壊し、読み取れなくすることが可能です。具体的には、HDDの外装カバーを開け、プラッタ部分に直接磁石を強く押し付けて数分間保持します。これにより、データが記録された磁気パターンが乱れ、復元が困難になります。ただし、市販の一般的な磁石では十分な効果が得られない可能性が高いため、注意が必要です。
【要注意】避けるべき破壊方法
HDDを破壊しようと考える人の中には、「手軽にできそう」「コストがかからなさそう」という理由で安易な方法を選択してしまう場合があります。しかし、間違った破壊方法を試みると、データ漏洩のリスクが残るだけでなく、予期せぬ怪我や火災などの危険を招きます。ここでは、実際によく耳にするものの中でも注意が必要な破壊方法を取り上げ、その危険性について解説します。
水につけて水没させる
水に浸してしまえば電気的にショートしてHDDが使えなくなるだろうと考える人も多いかと思いますが、実はこの方法ではHDD内部のディスクに記録されたデータそのものは完全に消去されるわけではありません。確かに水没によって基盤部分が故障する可能性は高まりますが、肝心のディスク面の磁気記録はそこまで簡単に失われるものではないためです。水に濡れた状態のHDDをそのまま放置し、後から専門のデータ復旧業者に依頼すれば、ある程度のコストと技術をかけてデータを取り出されるリスクがあります。さらに、水没による破損状況は予測がつきにくく、思わぬタイミングで内部が乾燥し、半端にHDDが動作してしまうケースも考えられます。こうした不確実性を考えると、水に浸すという方法はデータ漏洩防止の観点からもおすすめできません。
電子レンジでチンをする
電子レンジでHDDを加熱すれば磁気が破壊されるかもしれないという発想は、一見すると物理的衝撃よりも手軽に思われがちです。しかし実際には、電子レンジの中で火花が散って危険なだけでなく、HDDの金属部分が加熱されて発火・発煙する恐れがあり、家庭内で使用している電子レンジそのものを故障させるリスクも高い行為です。もし運よく火災などの大きな事故に至らに済んだとしても、肝心のデータが完全に破壊されている保証もありません。そもそも電子レンジの加熱がHDD内部のディスク全域に均一なダメージを与えられるとは限らず、思わぬ部分にデータが残存する可能性もあります。専門の設備や手順なしに個人が自宅の調理家電を使ってデータを消そうとする行為は非常にリスクが高いため、結果として、電子レンジを使ったHDD破壊は実用性に乏しく、かえって大きな危険を招く恐れがある方法です。
HDDを安全に破壊・廃棄するための注意点
HDDのデータを第三者から完全に遮断するためには、物理的な破壊だけでなく、破壊後の廃棄方法や作業時の安全性、そして環境への配慮まで考える必要があります。ここでは、安全かつ確実にHDDを処分するうえで見落としがちなポイントを詳しく解説します。
破壊後のHDDの処分方法を確認する
HDDの物理的破壊を行った後は、残骸になった部品をどのように処分するかをあらかじめ確認しておくことが大切です。自治体によっては電子機器の廃棄ルールやリサイクルの制度が細かく定められており、場合によっては特定の回収業者やリサイクルボックスに持ち込む必要があります。特に企業や事業者の場合は産業廃棄物として扱われるケースもあるため、法令に従った手続きを踏まないと罰則の対象になる恐れがあります。データ漏洩を防ぐためにHDDを壊したはずが、最終的な廃棄時の管理がおろそかになってしまえば情報流出リスクが再燃しかねません。完全に壊れたように見えるHDDでも、特殊な技術を使えばディスク面から一部の情報を復旧できる可能性もあるため、廃棄のタイミングで第三者の手に渡ることがないように注意しましょう。
怪我や事故を防ぐための安全対策を行う
HDDを物理的に破壊する際には、ディスクや基盤の破片が飛び散ることを想定して安全対策をしっかり行う必要があります。硬い金属で覆われているからといって油断していると、ハンマーで強く叩いた瞬間、予想外の方向に小さな破片が弾け飛んだり、尖った端子で手を切ったりすることが起こり。また、作業場所が散らかった状態だと、足元に転がった部品を踏んで転倒する危険性もあります。そうしたリスクを減らすためにも、周辺の環境の整備と作業する際は厚手の手袋や保護メガネ、できれば防塵マスクを着用するなど、十分な装備を整えるのが望ましいでしょう。さらに、力任せの破壊作業を屋内で行うと、壁や床を傷つけるリスクもあるため、可能であれば屋外の広いスペースで作業するか、専用の工具や破壊マシンを備えた業者に依頼するのが安全です。
環境への影響を考慮する
HDDを破壊する上では、データの消去だけに意識が向きがちですが、実際には環境への配慮も大きなテーマとなります。HDDには金属やプラスチックなどの資源だけでなく、基盤部分にレアメタルが使われているケースもあり、不適切に廃棄されると土壌や水質に悪影響を及ぼす可能性があります。特に企業などで大量のHDDを処分する場合、法令に沿ってリサイクルや分別の仕組みを整え、専用の施設に持ち込むか専門業者に引き取ってもらうことが不可欠です。また、きちんとリサイクルへ回すことで、貴重な資源を再利用できるだけでなく、環境負荷を低減する一助にもなります。データ漏洩対策と同時に環境への配慮も行えば、より社会的責任を果たした形でHDDの廃棄が実現できるでしょう。
HDD破壊サービスの種類と特徴
実際にHDDを破壊する際に、自分自信で行うのが不安な方や、企業で数十台・数百台のHDDを安全かつ効率的に処分したいと考える方も多いのではないでしょうか。そのような方は専門業者のサービスを利用することをおすすめします。ここでは、大まかに分けて3つのサービス形態を紹介し、それぞれのメリットや注意点について解説します。
オンサイト(出張)サービス
オンサイトサービスとは、専門業者が直接オフィスや家庭に出向いて、その場でHDDを破壊してくれる方式のことを指します。出張型のメリットとしては、自分の目の前で物理破壊の作業が完結するため、情報漏洩のリスクを最小限に抑えられる点が挙げられます。破壊マシンを搭載したトラックで来てもらえるケースもあり、データ消去の工程をリアルタイムで見守れる安心感も大きいでしょう。企業では機密情報を含んだ大量のHDDを扱うこともあり、そのような状況でも一括して作業を進められるため、時間と手間の両面で効率が良い方法といえます。ただし、対応エリアや出張費が追加で発生することがあるため、事前に業者に見積もりをとってから依頼するのがおすすめです。
弊社でも出張でのHDD破壊が可能ですので、気になる方はぜひ破壊・データ消去サービスのページをご覧ください。

オフサイト(持ち込み)サービス
オフサイトサービスは、依頼者が自らHDDを業者の拠点へ持ち込んで破壊してもらうサービスです。自分の足でHDDを持っていくため、スケジュールや費用をある程度コントロールしやすいというメリットがあります。通常、専門の破壊装置やセキュリティを備えた施設で処理が行われるため、データ消去の確実性においても高いレベルで担保されています。ただし、業者にHDDを運ぶ際には、移動中の紛失リスクや衝撃なども考慮して、厳重に梱包し、安全な手段で運搬することが大切です。特に企業の場合は、数十台から数百台のHDDを一度に運ぶケースもあるため、トラックなどの輸送手段やスケジュール管理も含めて、計画する必要があるでしょう。
機械のレンタルサービス
機械のレンタルサービスとは、HDDを物理破壊するための専用装置を一定期間借り受け、利用者自身でデータ消去作業を行う方式です。自社で実際に機械を操作できるため、セキュリティ管理を徹底したい場合や、作業スケジュールを柔軟に組みたい方にとっては有効な選択肢となります。オンサイトサービスのように出張費がかからないことも多く、またオフサイトサービスでの持ち運びに伴うリスクや手間を軽減できる点もメリットです。
レンタル期間や料金については企業によって異なるため、レンタルを行う際は、企業によって準備されているサービスページやレンタル約款を読み、内容に不明確のない状態で依頼を決定しましょう。弊社でも、HDD破壊に対応した機器のレンタルサービスを行っております。ご要望に応じて機器のご提案や操作方法のご案内、破片の処分方法などもしっかりサポートいたしますので、興味のある方はぜひお問い合わせください。

正しい方法でHDD破壊を行い、データ漏えいを防ごう
改めておさらいをすると物理破壊では、ドリルで穴を開ける、ハンマーで割る、プラッタを直接破壊する、強力な磁石で無効化するなどの方法を使い、第三者がデータを読み取る可能性を限りなくゼロに近づけることができます。ただし、自己流で誤った方法(例えば水没や電子レンジによる加熱など)を選ぶと、データの一部が残ってしまったり、予期せぬ事故が発生したりする恐れもあるため、正しい知識を持って作業を行うことが大切です。
物理破壊を適切に行い、安全かつ確実に廃棄するプロセスを踏むことで、大切な個人情報や企業の機密情報をしっかりと守ることができます。
弊社でもHDD破壊の出張サービスや機械のレンタルサービスを展開しているので、ぜひお気軽にご相談くださいませ。