Windows PCやMacなどでファイルを削除する際に「ゴミ箱」へ入れただけでは、ゴミ箱内にファイルが残っているので、データが消えていないのは見て判りますが、その後「ゴミ箱を空にする」操作を行って、見た目ではファイルが完全に見えなくなったとしても、ファイル復元ソフトを使ってデータを元に戻せる可能性があります。

それでは「フォーマット」をすれば復元できない状態にできるのでしょうか?

一般的にフォーマットと呼ばれる処理方法は「論理フォーマット」を指していますので、やはり同様にデータが復元できる可能性が高いです。

理由としては、論理フォーマットはインデックス情報(データがどの場所に記録されているかを示す目次にあたる情報)のみを消しているだけだからです。

フォーマットの処理をすると、1分以内の短時間で完了するのではないでしょうか。これはインデックス情報だけを消しているから短時間で済むのです。

下の画像は、実際にデータが書き込まれている領域を「バイナリエディタ」と呼ばれるソフトで開いた際に表示される文字の羅列です。

 (クリックで拡大)

ここにはコンピュータ特有の「16進数」=「0から9とAからFまでで構成される文字」を2つ並べて16×16=256通りの種類で1文字を示していますが、上と下には様々な文字が入っています。これが実際のデータです。復元ソフトでは、この文字の羅列を解析して再構築し、ファイルとして出力するのです。

一方、中央あたりには「00」が並んでいて、その横の「デコードされたテキスト」欄には点で埋まっているのが見て取れます。これは「何も入っていない状態」を指します。異なるデータ間の領域なので、ここは文字通りデータがゼロなのです。何もないのですから復元もできません。

では、参考に「何も入っていない状態」の代表例である、買ってきたばかりのHDDやSSDの表示を見てみましょう。

 (クリックで拡大)

このように全ての領域がゼロで埋まっています。

結論としては、この「全てがゼロ」の状態に戻してあげれば、データの復元が不可能になります。具体的な処理としては、全ての記録域にゼロの値を上書き処理してあげればいいのです。

他にも、意味のない文字で上書きしてしまえばそれもデータとして無意味になるので、無意味なパターンで上書きする手法も有効です。

HDDやSSDを廃棄処分する場合には、第三者にデータが復元されないよう、ドライブの全記録領域を、意味のない値で上書きすることがポイントなのです。

そうした全領域の上書き処理で消去することは、セキュリティ保護の世界的権威であるアメリカのNISTやDoD(国防総省)のガイドラインに示された方法に合致します。(英語ではOverwriteと書かれます)
参考: データ消去/破壊に関するガイドライン

データを復元されない上書き処理を確実・簡単に行う装置のご紹介

NISTやDoDのガイドラインに合致する上書き処理を、確実に、かつ簡単に行う方法をご紹介します。

HDD/SSDデュプリケーターを使用し、メニューから該当する消去方式を選んで開始する。これだけでガイドラインに準拠する完全消去が行えるのです。

HDE-GT HDC-MT700HG-SAS

データ消去装置「HDE-GT」や「HDC-MT-SAS」では、NIST、DoD、NSAといった代表的な消去方式を選択して実行できるほか、ポートごとに独立した消去処理操作ボタンにより完了したドライブから順次入れ替えて次の消去を実施できるため、他のドライブの終了を待つ必要なく効率の良い消去作業が行えます。

OSではない専用プログラム(FPGA内)で動作しているため安定しており、もしも万が一ドライブ内にウィルスが入っていたとしても影響されないため他のドライブもウイルスに感染するようなことはなく安全です。