HDDやSSDなどのドライブを廃棄や中古販売する際に、情報漏えいを防ぐために「記録されている全てのデータを消去」したい方が多いと思います。
パソコンなどで消去をする場合、ファイルをゴミ箱に入れてから空にするだけであったり、ドライブ全体を消す場合でもフォーマットをクイックで行うだけだと、目次の部分(インデックス情報)は消えるので表向きにはファイル(データ)が無くなったように見えますが、実際のデータやパーティション情報は残ったままです。
全て消えていると思ったら、復元ソフトを使われてデータを復元されてしまったり、異なるパーティションの情報は見られてしまうかもしれません。
それらを防ぐために必要となる処理は「ドライブ内の全記録領域を書き換える」ことです。

全てのデータが消去された状態にするには、目次情報だけでなくパーティション情報と実データ記録領域の全て(全セクタ)を上書きして無意味なデータに書き換えることで達成されます。
目次情報はドライブのほんのわずかな容量しか使用していないため数秒で消せますが、全ての領域を上書き処理するには長い時間が掛かります。
4TBのHDDともなると、処理に丸1日掛かってしまうこともあるでしょう。1台だけならまだしも、複数台あるのなら消去処理で多くの時間を奪われてしまいます。

そこで便利なのが「完全消去を高速・簡単に行える消去装置」の「JetCopier」シリーズです。

JetCopier 消去方式の解説

JetCopierシリーズでは、完全消去の業界標準方式を用いて処理できます。

規格名 方式 コメント
NIST SP 800-88 00やFF等の固定値
(+Verify)
1回上書き
アメリカ国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology = NIST)が発表しているガイドライン「SP 800-88」に準拠。
2006年の初版にて「2001年以降に製造された15GB以上のATAディスクドライブ(HDD)であれば一度の上書きで十分です」と記載され、全領域の1回上書き方式がTBクラスまで大容量化が進んだ現在ではHDD消去の主流となっています。
【NIST原文(2006年版)の記述引用】
[for ATA disk drives manufactured after 2001 (over 15 GB) clearing by overwriting the media once is adequate to protect the media from both keyboard and laboratory attack.]
DoD 5220.22-m 00 →  FF →  Rnd
(+Verify)
計3回上書き
アメリカ国防総省(United States Department of Defense : DoD)の「国家産業保全プログラム運用マニュアル(NISPOM)」が公開する「5220.22-m」に準拠。
NISTよりも10年以上先立つ1995年に発表され、3回の上書きが必要と規定されました。3回目の上書き処理はランダムパターンで記録されるため、記録域は不規則な内容になっているのが特徴です。
2006年の改訂版では、NISTと同じくして上書き回数の規定が無くなりましたが、現在もDoD方式と言えば3回上書きが業界標準となっています。
15GB以下のHDDが残っていた2006年までの主流でしたが、漏えいリスクに対する厳しい基準を策定している企業や団体では現在も用いられることがあります。
NSA (130-1) Rnd → Rnd →  00
計3回上書き
アメリカ国防総省(United States Department of Defense : DoD)の情報機関である「アメリカ国家安全保障局(National Security Agency)」の公開していたマニュアル「130-1」に準拠。
3回目の上書き処理は00で記録されるため、記録域全てがゼロで埋まった状態となるのが特徴です。
現在は「130-1」は公開されておらず、代わりに公開されているポリシーマニュアル「9-12」にはNIST同様の記述となっています。
DoD方式と並び1990年代に策定された過去の主流ですが、漏えいリスクに対する厳しい基準を策定している企業や団体では現在も用いられることがあります。
セキュアイレース ATA規格コマンド
ドライブ依存
ATA規格(SATAとIDE)のドライブにコマンドを発行することで、ドライブ内で消去が実行されます。
消去方式はドライブに依存しますが、ATAの仕様書にならいNIST同様のゼロ1回で実施されることが多いようです。
特にSSDではコントローラのメモリ内一斉書換えにより数秒で処理が完了するため、良く使用される消去方法です。
エンハンスドセキュアイレース ATA規格コマンド
ドライブ依存
セキュアイレースのエンハンスド版で、エンハンスドモードに対応するドライブ内で「Reallocated Sector(交替セクタ)」を対象に含んだ消去が実行されます。
基本的にはセキュアイレースと同じですが、エンハンスドでは交替セクタも対象となるため、完全消去(Purge)とするにはこの方式を求められる場合があります。
ATAの仕様書では記録するパターンに規定がありませんので、メーカーによって記録結果まちまちです。しかし、リセットされていることが確認しやすいようゼロで埋めるのが一般的のようです。
古いHDDではエンハンスドモードに非対応の機種もありましたが、SSDが普及した現在では対応していない機種が出てくる可能性は極めて低いと見られ、特にSSD用としては最もスタンダードな消去方法となっています。

→ 関連リンク:データ消去/破壊に関するガイドライン

【JetCopier】のソフト消去ならライセンス料不要で、複数台を同時並行処理できます!

パソコンで動作する消去ソフトウェアでは1台ごとにライセンスを消費することがありますが、JetCopierシリーズでの消去ならば何台でもライセンス料不要で消去できますので、ランニングコスト削減に役立ちます。

JetCopier HDC-MT-SASシリーズ
  • 「SAS」と「SATA」の2種接続規格に対応。混在での処理も可能です。
  • 「非同期消去機能」搭載。ポートごと独立して消去処理が行えます。容量や転送速度が異なるドライブが混在している場合に、先に処理が完了したドライブから取り外して、ポート手前のボタンを押すことでそのポートだけ次の処理を開始できるため、全てのポートが処理を完了するのを待たずに効率良く消去作業が行えます。
JetCopier HDC-BMシリーズ
  • SSDの新潮流「M.2(NGFF)」用として「NVMe」と「SATA」2種接続規格に対応。混在での処理も可能です。
  • ソケット交換により「U.2」接続にも対応可能です。

その他、豊富な機器ラインナップから業務の規模に合わせて選択が可能です。
選ぶのにお困りでしたら、消去機器のプロ集団(株)創朋のスタッフが機器選定にご協力いたしますので、お気軽にご相談ください。
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