データ消去の証明書を作成する際の要点

PCやサーバのデータ消去を依頼されて代行した場合には、データ消去を実施した業者が、依頼したお客様へ、データ消去を正しく行った結果を証拠として残すための書類として「データ消去証明書」を発行するのが一般的です。

証明書は業界標準の形式があるわけではないので、業者が自由に作成することができます。しかし、基本的にお客様から求められる情報が含まれていない場合には作り直しが発生することになりますし、もしも取得していない情報があった場合には対象品を処分した後から取得できなくなり要望に応えられなくなる、ということがあるかもしれません。

このコラムでは、要望として出てくることが多い情報をまとめ、取得や記載漏れを防ぐ参考となるよう掲示するとともに、証明書を簡単に作成する方法についてご提案いたします。

物理破壊証明書(一覧形式)

消去証明書

物理破壊証明書(個別形式)

物理破壊証明書(個別)
目次

記録媒体(HDD/SSD)の固有情報

データ消去を実施する対象は記録媒体ですので、まずは記録媒体の情報が必要です。

  • モデル名(型番)
  • 製造番号(シリアルナンバー)
  • 容量

この他、製造メーカーやブランド名なども取得しておくと特定しやすくなりますので推奨しますが、モデル名から逆引きできるので最低限モデル名は必要です。個体を特定するユニークな情報は製造番号のみですので、これも取得と記載が必要です。
容量については必要でない場合もあるかもしれませんが、データ消去に掛かった時間と比較する指針として有用なので要望される可能性は高いです。

処理をした日付や時間

データ消去の場合は、結果と並べて消去に要した時間を書くのが一般的です。容量と時間を比較し、他と比べて長すぎる場合に不調の状態(故障しかかっている)ドライブだと判定することがあるためです。不調であっても全領域の消去が完了したのかどうかを知る上でも重要な指針となりますので概ね必要とされるでしょう。
データ消去は容量が大きいと1日を超えて処理が続く場合があるので、要した時間の横に日付も併記するのがよいでしょう。物理破壊のように1台の処理が短時間(数分)で完了する場合は、まとめて1か所に書くだけでも良い場合があります。

処理の方式

どのような処理の方式を用いたかは、依頼する際の条件として決められている場合が多いため、決められている場合は必要ですし、決められていない場合でも記載するのが妥当です。
特にデータ消去では要する時間が方式と容量の相関によって概ね決まるので、正しく処理がされた証拠として大きな意味を持ちます。
物理破壊の場合は形の変化に合致するのか確認するために、どのような形状にする破壊なのかを示すべきです。

記録媒体が接続されていたPCやサーバの端末固有情報

データ消去を依頼する側は、接続されている記録媒体の情報ではなく、端末であるPCやサーバのモデル名や製造番号で情報管理しているはずですので、記録媒体の固有情報だけでは管理情報との照合(紐付け)ができずに確認できなくなってしまい、証明書として成立しなくなってしまう可能性すらあります。そのためPCやサーバの端末が持つ固有情報も必ず取得するようにします。
既に端末から取り外されていて記録媒体のみになった状態でデータ消去を依頼された場合は不要となる場合がありますので、どのようにすべきか依頼者に確認した上で取得するかどうかを決めてから作業を行うようにすべきでしょう。

現物の写真

端末の固有情報として、現物の写真が有効となる場合があります。写真を撮るのは手間が増え、データ量も大きく増えますので、必要かどうかで作業の時間と人数が変わります。作業当日では対応できなくなる可能性が高いので、事前に写真が必要かどうかを確認しておくべきでしょう。
物理破壊の場合は記録媒体の破壊前と破壊後の両方を撮影し、証明書に掲示することで正しく処理された結果とするのが一般的ですので必要となる場合が多いです。

処理を実行した業者名

証明書により正しく処理が行われたことを証明するのは処理を実行した業者ですので、業者名の記載は必要です。上記した情報は案件によって変わりますが、業者名は共通するので、テンプレート内に入れておくのが良いでしょう。場合によっては担当者のサイン欄を横に設けて、手書きでサインを行うのも有効です。

簡単に作成する方法

Microsoft OfficeのWordやExcelでテンプレートを作成しておき、上記の項目を事前に用意しておくことで、共通化を図りつつ記載や取得漏れを無くすのが基本となります。案件や対象の台数が少ないうちは都度1から作成でも構いませんが、数が増えてくるとテンプレートを作っておき、概ねどの案件にも通用する形式にしておくのが便利です。社内で過去案件の管理をする上でも、共通のテンプレートを須買って似通った内容にしておく方が、参照した際に判定しやすくなり、業務効率の向上にもつながるでしょう。

株式会社創朋のデータ消去機には、消去機に自動保存される結果のログファイル(CSV形式)を使い、Microsoft Excelベースのファイルで証明書を簡単に生成できるプログラムを標準で付属しています。物理破壊の場合は、写真撮影を手早く確実に行うシステムに同様のプログラムを付属しております。

創朋が提供する機器をご利用いただくことで、証明書の発行が簡単かつ確実に行えるようになります。

まとめ

データ消去証明書は、専門的な書類に聞こえるかもしれませんが、要は「きちんとデータ消去を行った」という安心を形にしたものです。証明書があることで、お客様も業者も後から確認できる安心感が生まれます。
ポイントは、必要な情報を事前に確認して漏れなく記録すること。テンプレートを作っておけば、作業がスムーズになり、余計な手間も減らせます。
これからデータ消去に携わる際には、ぜひ証明書の重要性を意識してみてください。

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